湘南サーフ・ジャーナル「湘南・茅ヶ崎」

湘南「茅ヶ崎」

〜湘南SURF JOURNALを支えてくれる街〜

この街にはどんな人をもあたたかく迎えてくれる陽気さがあります。
そして、古くから漁師街として栄えてきた街だけに、
海とは切っても切り離せないスタイルが引き継がれていて、
今でもそのカルチャーはここに住む人たちの生活にしっかりと根付いています。
いろんな角度から、茅ヶ崎にまつわるストーリーを知る事で
きっとあなたも、この街をもっともっと愛せるようになるのではないでしょうか。

茅ヶ崎地域の近況「海岸と自然環境」

茅ヶ崎の海岸浸食の原因と現状

そもそも海岸浸食はどうして起こってしまったのでしょうか?

pht_shinshoku1.jpgビーチには無数の波が押し寄せ、その波は砂をさらっていきます。砂を失ったビーチには、代わりに河川から流れ出た砂が漂着し、ビーチを補修します。これが自然のサイクルでした。

しかし、現在は河川から流れ出るはずの砂の量が大幅に減少してしまい、海岸浸食の原因となっています。流れ出るはずの砂は、飲料水確保などを目的として建設されたダムや、堰などの河川構造物によってせき止められ、砂浜全体が減少する原因となりました。

また、河川から流れ出た砂も、漁港や海岸構造物、住宅などの開発建設によって砂の従来の漂流が妨害され、一部の砂浜では、なかなか砂が行き届かず、局所的な浸食が急速に進む原因になっています。しかし、ダム、漁港、海岸構造物などは、生活を営む上で必要な施設です。これら施設と連携して砂浜を守り、元に戻す取り組みが必要になっています。

神奈川県藤沢土木事務所の試み

pht_chigasaki3.jpg●今回お話を伺った神奈川県藤沢市土木事務所の皆様平成19年より神奈川県藤沢土木事務所は、山と川と海の3つから総合的に、砂を人為的に運ぶという対策を始めています。その中でも、大々的に行われているのが、相模川ダムからの砂を採取し、砂浜に運ぶ事業です。

冬の間、海岸道路の134号線を通っているときに、砂を運んでいる大きなダンプカーが何台も連なって走っているのを見かけたことはありませんか? また、ビーチに遊びに行ったときにショベルカーで砂を投入しているのを見かけたことはないでしょうか? 神奈川県藤沢土木事務所は年間3000立方メートルの砂を10年間継続して計3万立方メートルの砂の投入を計画しています。1台のダンプで運べる砂の量は、5.5立方メートルですので、ダンプカー約5450台分の砂を運ぶ計算になります。

従来、自然がゆっくりと時をかけて運んでいた砂を、代わりに人間が運ぼうという計画です。単にコンクリートで覆ってしまったり、消波ブロックを投下するのではなく、コストと手間をかけて、砂浜を毎年メンテナンスしていくことが必要だという考え方が浸透しつつあります。


●砂の採取方法

pht_shinshoku5.jpg● 山-相模川ダムの奥から砂を採取して、約60kmかけて海まで運ぶ
● 川-相模川の川底に溜まっている砂利を除いた砂を採取して海まで運ぶ。
● 海-海岸に砂が溜まっているところ(漁港付近など)から砂を運び出す。
砂浜への砂の投入時期:1月〜3月10日しらす禁漁期のみ
砂の年間投入予定量:3,000立方メートル
砂の投入方法:1台のダンプで5.5立方メートル×164台分を一度に投入

pht_shinshoku6.jpg

海岸浸食防止への評価  

いつまでも守っていきたい……

図からわかるように中海岸エリアにおけるビーチ面積は増加傾向にあり、2007年11月と2008年8月を比較すると約2700m2の面積増加が確認されており、中海岸の砂浜の修復に重点的に取り組んできた成果が見受けられます。しかしながら中海岸以外の浸食の著しいエリアへの取り組みなど、長期にわたって継続して、ビーチをメンテナンスしていくことが求められています。このような活動を可能にするためには、行政と私たちの理解が必要です。ビーチが本来あるべき姿に戻る日がやってくるまで、取材を続けていきたいと思います。

定点観測写真

左の写真は、中海岸における定点観測写真。ビーチが修復されていく経時変化がわかる。

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海岸浸食のFAQ  

Q1)「いったいどのくらい海岸は浸食されているの?」

  • Answer:
    • pht_shinshoku2.jpg昭和21年の土砂の流出量は、年間15万立方メートルと試算されています。相模ダムの堰(セキ)ができた現在は0.5万立方メートルと、約3%に激減しました。ビーチ全体で浸食の進んでいることが伺えます。また、図からわかるように、相模川の河口からみて、海岸構造物の手前側では砂の堆積が進み、海岸構造物の後ろ側(中海岸、菱沼海岸)では、浸食が進んでいることがわかります。

Q2)「これまでの対策は?」

  • Answer:
    • pht_shinshoku3.jpg<柳島エリア> 昭和47年(1972年)から昭和63年(1988年)の16年間で、最大62m海岸が後退。砂の供給量の激減と、相模川河口から砂利が採取された影響で、相模川の河口に近い茅ヶ崎海岸の柳島エリアが、相模湾の中で最も浸食が著しいエリアでした。この浸食を修復するために、消波堤が築かれ、砂利の採取も中止され、現在は砂が堆積する傾向にあります。
      <東海岸・菱沼海岸エリア> 昭和46年(1971年)から昭和59年(1984年)の13年間で最大36m海岸が後退。平成9年の台風による波浪では、サイクリングロードまで被害が及びました。ヘッドランド(人口岬)が建設されました。現在特に浸食が著しいエリアで、砂浜を復旧する取り組みが重点的に行われています。

Q3)「消波ブロックは投入される可能性はあるの?」

  • Answer:
    • pht_shinshoku4.jpg浸食の著しいエリアでは、よく消波ブロックが海に投入されるケースがあります。しかしながら、神奈川県藤沢土木事務所では、平成17年の協議で一切の人口構造物に頼らずに自然の砂で海岸浸食の対策をとることが取り決められました。消波ブロックが入ることはありません。

Q4)「ダムはどうして必要なの?」

  • Answer:
    • ダムの大きな機能はふたつで、洪水・災害を防ぐことで人の安全性を確保することと、飲料水を確保し、都市に水を供給することです。もしも私達が、ダムのある領域から出て行くことができるならば、かつてのダムのない自然な状態に戻すことができるかもしれません。でも実際には、交通の便のよいダムの下流の平坦な地域には、多くの人々が住み、生活を営んでいます。そんな私達のためにダムは、洪水を防ぎ、飲料水を提供する大切な役割を担っているのです。
    •  私達の開発によって、河川に砂の運搬という役割を期待できなくなった今、私たちが代わりにダムから砂を取り、本来届くべきだったビーチに私達が砂を運ぶのは必然的な流れなのかもしれません。